脊椎や背骨の変形、坐骨(ざこつ)神経痛などの脊椎に由来する神経痛、腰椎椎間板ヘルニア・脊椎管狭窄症に対し積極的に診断と治療を行っております。
手術には手術用顕微鏡を使用しており、低侵襲で安全な手術を心がけています。
腰の骨は5つの腰椎骨と1つの仙骨、そしてそれぞれの骨の間にある椎間板というクッションからできています。
椎間板のうしろには脊柱管という神経の通り道があります。
椎間板の中身である髄核が後ろに出て、神経を圧迫するのが腰椎椎間板ヘルニアです。
神経が圧迫されると炎症が起きて、激しい腰痛や足の痛み、しびれが出現します。
症状が悪化すると足に力が入りにくくなったり、排尿の障害が出現したりします。
手術ではこの飛び出た椎間板を取り除くことによって神経の圧迫をなくします。
単純なヘルニアなら傷口は2cm程で手術時間は1時間ほどで終わります。
入院期間には個人差はありますが約1週間程です。
神経の通り道(脊柱管)の周りには椎間板以外にも骨や靭帯などがあります。
年齢とともにこの骨や靭帯、椎間板が厚くなっていくと脊柱管全体が押しつぶされることがあります。
これにより足のしびれ、痛み、また、数歩歩いては休み数歩歩いては休みといった特徴的な歩行(専門用語で間歇性跛行と言います)が出現します。
これが腰部脊柱管狭窄症と言われる病気の典型的な症状です。
診断はMRI検査や脊柱管に造影剤と言うレントゲンに映るお薬を入れる検査で行います。
お薬やリハビリでも効果がない方に手術を行います。
手術では脊柱管を圧迫している骨や靭帯を取り除くことによって神経の圧迫をなくします。
1カ所の狭窄なら手術時間は1時間ほどで終わります。
入院期間には個人差はありますが約1週間程です。
腰の骨は5つありますが、並び合った骨が階段状にずれる(すべる)病気を腰椎すべり症と言います。
この結果上記の腰部脊柱管狭窄症と同様の症状を起こすことがあります。
ずれている腰椎がぐらぐらして不安定な場合は、神経の通り道を広げた後にボルトで固定する手術を行います。
ボルトで固定する手術は術後の痛みが比較的強く、筋肉への影響もあり身体への負担が大きい手術でしたが、最近ではMIStと呼ばれる低侵襲で脊椎を固定する手術も開発され、負担の少ない手術になってきました。
入院期間は2~3週間程となります。
ずれている骨が安定している場合は腰部脊柱管狭窄症と同様の手術を行います。
腰部脊柱管狭窄症と同様に、年齢とともにくびの骨や靱帯、椎間板が厚くなっていくことにより脊柱管が狭くなり中を走っている脊髄が圧迫されて症状がでます。
ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になったり、歩行で足がもつれるような感じや階段の上り下りで手すりが必要になったりという症状が出ます。
手足のしびれも出てきます。
高齢の方ではその症状が年齢のせいと勘違いをされることがあり気づくのが遅れる場合があります。
手足のしびれだけで手術を行うことはありませんが、上記の症状で日常生活に支障がある場合や階段昇降に手すりが必要となれば手術が選択されます。
手術ではこの脊髄のうしろにある骨を開くことによって脊髄の通り道を広くするような手術(椎弓形成術と言います)を行います。
術後すぐに症状が全て改善することは少ないのでその後もリハビリをしていただくことになります。
しかし症状の進行を防いだり、不意の事故などで脊髄が障害を受けるのを予防したりする効果もあります。
くびの神経の枝の部分(神経根と言います)が椎間板などで挟まれたりすることがあります。
そうなると片方のくびから肩にかけて激しい痛みが生じます。
痛みが激しすぎて常に肩を上げていないと我慢できない程の痛みが起こることもあります。
基本的には自然治癒する疾患です。
まずはくびの牽引やお薬の治療をします。
治るまでには数ヶ月以上かかることも少なくなく、激痛の時期が終われば気長に治療します。
筋力低下が著しい場合や、強い痛みで仕事や日常生活が傷害されている方にのみ手術を行います。
手術は神経根のうしろの骨を1cmほど取り除く手術をしています。
このことにより神経が狭い空間から逃げることができます。
傷口は2cm強であり入院期間は1週間程度となります。
「骨粗鬆症」は骨の新陳代謝のバランスが崩れて、こわされる(吸収される)骨の方が作られる(形成される)骨より多くなってしまうために、骨がもろく壊れやすくなってしまう疾患です。
骨粗鬆症の原因には、加齢・生活習慣(運動不足、食生活、喫煙など)、女性の場合には閉経後のホルモンバランスの変化などがあります。
特に加齢による骨密度の低下は、程度の差はありますが、誰にでも起こりえます。
高齢の方の背骨は骨粗鬆症のため弱くなっているので、無理な姿勢や軽微な外傷でつぶれ圧迫骨折が発生します。
圧迫骨折が生じると強い腰や背中の痛みが起こり長期間の安静を余儀なくされます。
背骨の骨折が治癒せず、大きく曲がってしまうことも多くあります(「偽関節」といいます)。
従来は長期間の臥床やコルセット治療を行ったり、脊椎固定術といった体の負担の大きなインプラント手術をすることもありましたが、最近では特殊な手術器具と医療用セメントを用いて体の負担なく圧迫骨折を治す事が可能となりました。
経皮的椎体形成術(BKP)と呼ばれる、皮膚から針を挿入し、風船を骨折した骨の中で膨らせた後、セメントを充填して骨折を一瞬にして固める手術です。
この手術は手術直後から劇的に痛みが改善するのが特長です。
しかし骨粗鬆症の背骨は治ったわけではなく、他の椎体に続発する圧迫骨折をいかに防ぐかが大切であり骨粗鬆症の治療が非常に重要になります。