当院には1995年(平成7年)に県内初の緩和ケア病棟が開設されました。
これまで多くの方にご利用いただいており、ここ数年は毎年のべ200名以上の入院があります。
緩和ケア病棟というと、いまだに「最後の最後に行くところ」「一度入ると二度と出られないところ」というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
年間のべ200名以上の入院患者さんのうち15~20%の方は、入院後に症状が安定し、いったんご自宅へ退院しておられます。
また10~15%は2回目以上の入院となっています。
当院では緩和ケア外来を週3回、原則として完全予約制で行っています。
医療ソーシャルワーカー(MSW)が窓口となっています。
緩和ケア外来で行っていることは主に下記の2通りです。
主にご家族の方に来ていただき、緩和ケア病棟医長・看護師・MSWが面談を行います。
これまでの経過や現在の状況、ご本人にとっての苦痛症状や今後の療養の仕方に関するご本人・ご家族のご希望等をお伺いします。
そのうえで転院の予約を行い、入棟判定会議を経て、病棟のベッドの都合がつき次第、MSWより転院のご案内をしています。
他院から紹介された患者さんの中には、ゆくゆくは緩和ケア病棟への入院を考えてはいるものの、紹介の時点ではさほど症状のなく、すぐに入院を希望しているわけではないという方もよくいらっしゃいます。
その場合、定期的に緩和ケア外来へ顔を出していただき、その後の状況をみながら症状緩和を行い、症状の具合やご希望に応じて緩和ケア病棟への入院を考慮します。
また、いったん当院緩和ケア病棟へ入院され、症状が安定し退院された方の場合、その後は自宅で療養され訪問診療・訪問看護を利用される方もいらっしゃいますし、緩和ケア外来へ通院される方もいらっしゃいます。
症状緩和のために、またがんとともにうまく生活していくために、緩和ケア病棟のことを知っておいて損はなく、うまく利用していただけるといいなと思っています。そのためにも緩和ケア外来の役割は重要だと思っています。