関節

関節手術の種類

全人工股関節置換術

日本人の女性には「臼蓋形成不全症」という股関節の異常がよく見受けられます。
股関節の受け皿(臼蓋)の骨の作りが不十分で大腿骨頭(大腿骨の近位の丸い部分)を十分に受け止めることができません。
関節は不安定となり、やがて中高年になると軟骨が摩耗し骨には変形を伴うようになり、変形性股関節症となります。
関節裂隙(関節の隙間)が完全に消失してしまうと、痛みのために歩行が困難になります。
関節の動きが悪くなり、靴下を履いたり爪を切ったりという動作が阻害されます。

手術では変形した臼蓋と骨頭を切除し、人工関節に置き換えます。
耐用年数は15-25年が見込まれます。
入院期間はおよそ3-4週間で、退院時には独歩もしくはT杖での歩行となります。

変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術

中高年の膝関節痛の原因として最も多いのが変形性膝関節症です。
主に加齢により膝関節の軟骨が摩耗し、土台となる骨の変形まで生じる病気です。
膝は「内反(ないはん)」変形(≒O脚)を来すことが多くなります。

高位脛骨骨切り術は、初期から進行期の変形性膝関節症が適応になる手術です。
内反変形した膝の下で骨を切って矯正することで膝を真っ直ぐにする手術です。
手術後は膝の外側にも分散して体重がかかるようになるため膝関節の痛みがなくなり、変形性膝関節症の進行が抑制されます。

骨切りを行った部位が安定するまで体重をかけないようにリハビリを行うため、入院期間は約6週間を要します。
T杖もしくは独歩での退院が目標です。
骨切り部を固定した金属は骨切り部が治った後に抜去する必要があります。

大腿骨顆部壊死に対する人工膝関節単顆置換術

高位脛骨骨切り術を行うには関節の摩耗が進行している方や、比較的年齢が高く活動性が低い進行期の変形性膝関節症の方や、大腿骨顆部壊死という大腿骨の膝関節面の陥没(壊死)のために痛みのある方などが対象になります。
大腿骨・脛骨の内側もしくは外側のみを人工関節に入れ替える手術です(内側も外側も摩耗している場合には適応になりません)。

全人工関節置換術ほどの長期間の耐用年数はありませんが、可動域が保たれやすく(正座が可能となる場合もあります)、社会復帰も早い手術方法です。

変形性膝関節症・関節リウマチに対する全人工膝関節置換術

関節破壊を認める膝関節の除痛としては最も安定した成績のある手術方法です。
関節の内側も外側も傷んでいる場合に行います。
人工関節の耐用年数は平均15~25年ほどです。
関節の内反変形(O脚)